糊麻(ノリアサ) 秋の花 2011年09月07日 糊麻(ノリアサ)はアオイ科オクラ属の一年草である。1944年に京都大学の香川冬夫博士によって作出された栽培植物である。黄蜀葵(トロロアオイ)とオクラとの種間雑種である。両者の性質を持ち合わせており、根からは糊の原料がとれ、果実は食用になる。 草丈は1~2メートルである。葉は手のひら状に深く切れ込み、互い違いに生える(互生)。開花時期は8~9月くらいである。黄色くて中心が暗い紫色をした5弁花をつける。花は一日花である。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。和名の由来は、糊の原料となり葉の形が「麻」に似ていることからきている。属名の Abelmoschus はアラビア語の「麝香(abul)+父(mosk)」からきている。種小名の glutinotextilis は「織物に用いるねばついた」という意味である。写真は9月に東京都薬用植物園で撮った。学名:Abelmoschus x glutinotextilis★めずらしい名前の花を紐解けば 先人なせし巧みに出会い花図鑑植物図鑑PR
丸葉乗鞍薊(マルバノリクラアザミ) 秋の花 2011年09月06日 丸葉乗鞍薊(マルバノリクラアザミ)はキク科アザミ属の多年草である。日本固有種である。中部地方に分布し、亜高山や高山の林の縁や道端に生える。草丈は100~150センチくらいである。同じ中部地方に分布する乗鞍薊(ノリクラアザミ)の変種である。葉は一般のアザミ類と異なって深い切れ込みがなく、細長い楕円形をしている。基本種には深い切れ込みがある。葉の長さは10~20センチくらいである。葉の裏面には白い毛が密生し、白っぽい。このため雪薊(ユキアザミ)の別名がある。基本種も同様に裏面が白いので、裏白薊(ウラジロアザミ)の別名がある。開花時期は8~10月である。花(頭花)の色は淡い紅紫色で、茎先に横向きか下向きにつく。総苞片(花序全体を包む葉の変形したもの)が長く反り返るのが特徴である。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。属名の Cirsium はギリシャ語の「cirsos(静脈腫)」からきている。静脈腫に薬効のある植物につけられた名が転用された。種小名の norikurense は「乗鞍岳の」という意味である。種小名の integrifolium は「全縁葉の」という意味である。写真は9月に上高地で撮った。学名:Cirsium norikurense var. integrifolium★薊でも葉っぱはスマート楕円形 切れ込むだけが能でないから花図鑑植物図鑑
狸の剃刀(タヌキノカミソリ) 秋の花 2011年09月05日 狸の剃刀(タヌキノカミソリ)はヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草である。原産地は中国である。湖北省から雲南省にかけて分布している。日本には自生していないが、観賞用として導入されている。面白い名前だが、狐の剃刀(キツネノカミソリ)を意識したネーミングなのであろう。草丈は50~60センチくらいである。開花時期は8~9月である。淡いピンク色の花被片に、濃いピンクの縦ラインが入っている。花の咲くころには葉は枯れている。結実はしない。属名の Lycoris はギリシャ神話の海の女神「リコリス(Lycoris)」の名からきている。花の美しさを称えて名づけられた。種小名の incarnata は「肉色の」という意味である。写真は8月につくば植物園で撮った。学名:Lycoris incarnata★美しく咲いているのにどことなく 気配怪しい狸の剃刀花図鑑植物図鑑
四角向日葵(シカクヒマワリ) 夏の花 2011年09月04日 四角向日葵(シカクヒマワリ)はキク科テトラゴノテカ属の一年草である。向日葵(ヒマワリ)に近い仲間である。原産地は北アメリカの南東部である。和名の由来は、茎が四角いところからきている。草丈は2~3メートルくらいである。茎は直立をする。葉は心形で、向かい合って生える(対生)。葉の先は尖り、つけ根の部分は茎を抱く。開花時期は6~8月である。茎の上部で枝分かれをして、先に黄色い花(頭花)をつける。花は向日葵(ヒマワリ)ほどは大きくはない。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。属名の Tetragonotheca はギリシャ語の「tetra(4つの)+gono(種)+theca(ケース)」からきている。種小名の helianthoides は「ヒマワリ属(Helianthus)のような」という意味である。写真は7月につくば植物園で撮った。学名:Tetragonotheca helianthoides★しげしげと花覗き込み考える 四角向日葵どこが四角い花図鑑植物図鑑
岩沙参(イワシャジン) 秋の花 2011年09月03日 岩沙参(イワシャジン)はキキョウ科ツリガネニンジン属の多年草である。日本固有種で、フォッサマグナ要素の植物である。本州の関東地方から中部地方にかけて分布し、山地の湿った岩場に生える。草丈は30~70センチくらいである。根際から生える葉は卵形である。茎につく葉は細い披針形で、互い違いに生える(互生)。葉の縁には鈍いぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は9~10月である。鐘形をした紫色の花が多数垂れ下がる。花冠の先は浅く5つに裂ける。花径は15ミリから25ミリくらいである。萼片は5枚、雄しべは5本である。花の色は白いものもある。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。沙参(シャジン)というのは釣鐘人参(ツリガネニンジン)のことである。和名の由来は、岩場に生える釣鐘人参(ツリガネニンジン)の仲間というところからきている。属名の Adenophora はギリシャ語の「adenos(腺)+phoreo(有する)」からきている。植物体全体に乳液を出す腺細胞があることから名づけられた。種小名の takedae は高山植物の研究家「武田久吉さんの」という意味である。写真は10月に芦ノ湖野草園で撮った。学名:Adenophora takedae★ひっそりと俯きながら花つける 岩沙参は日本の生まれ花図鑑植物図鑑