メキシカンブッシュセージ 秋の花 2011年09月24日 メキシカンブッシュセージ(Mexican bush sage)はシソ科アキギリ属の多年草(半低木)である。メキシカンセージ(Mexican sage)とも呼ぶ。原産地は北アメリカから中南アメリカにかけてで、ポピュラーな観賞用ハーブである。別名をアメジストセージ(amethyst sage)という。ベルベットセージ(velvet sage)と呼ばれることもある。草丈は100~150センチくらいである。茎の断面は四角形で、2年目から下部は木質化する。葉は長い披針形(笹の葉のような形)で、十の字状に向かい合って生える(十字対生)。葉には軟毛が生えており、先は鋭く尖る。葉の色は淡い緑色で、よい香りがする。開花時期は9~11月である。短日植物で、日差しが短くなると花を開く。茎先に10~30センチくらいの総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を斜めに出し、唇形の花をつける。萼は紅紫色で、ビロード状の軟毛に覆われている。花の色は白いものと紫色のものがある。雄しべは5本あるが、そのうちの3本は退化している。雌しべは1本で、先は2つに裂ける。花の後にできる実は分果(複数の子房からできた果実)で、4つのブロックからなる。葉を乾燥させたものを生薬でセージ葉といい、芳香性健胃薬とされる。属名の Salvia はラテン語の「salvare(治療)」からきている。薬用になるものが多いことから名づけられた。種小名の leucantha は「白い花の」という意味である。写真は10月に東京都薬用植物園で撮った。学名:Salvia leucantha★ビロードがぽんと弾けて顔を出す 紅紫は夕陽に染まり花図鑑植物図鑑PR
矢の根梵天花(ヤノネボンテンカ) 秋の花 2011年09月23日 矢の根梵天花(ヤノネボンテンカ)はアオイ科ヤノネボンテンカ属(パポニア属)の常緑低木である。原産地は南アメリカである。日本へ渡来した時期は不明である。日本でも帰化していて、道ばたなどに生える。草丈は100~150センチくらいである。茎は下部でよく枝分かれをして、横に広がる。葉はくさび形で矢じりの形に似ている。葉の縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。この葉の形が「矢の根」の名の由来になっている。「梵天」は婆羅門天のことだが、同時に山伏の峰入り行列の先頭に立てたりする御幣(ごへい)をも意味する。花の形をこの「梵天」に見立てたものであろう。同じアオイ科に梵天花(ボンテンカ)という花がある。開花時期は8~9月である。花径は5~7センチくらいで、花びらは白く真ん中が濃い赤褐色をしている。また、花びらの裏側にはきれいな濃い赤色の筋が入っている。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。別名を高砂芙蓉(タカサゴフヨウ)という。属名の Pavonia はスペインの植物学者「パボン(J. A. Pavon)さん」の名からきている。種小名の hastata は「鉾形の」という意味である。写真は10月に京都府立植物園で撮った。学名:Pavonia hastata★あっさりと咲いているよな振りをして 花の裏には綺麗な模様花図鑑植物図鑑
リコリス・アフリカーナ 秋の花 2011年09月22日 リコリス・アフリカーナはヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草である。異名をリコリス・アウレアという。原産地は中国の南部や台湾、ミャンマーなどである。アフリカーナの名は、南アフリカ産と誤認されてつけられたようである。草丈は50センチくらいである。根際から生える葉は線形で、開花と同時に展開する。葉の先は鋭く尖り、裏面は粉白色を帯びる。葉は翌春に枯れる。開花時期は9~10月である。花の色はクリーム色で、上向きに咲く。花被片は6枚で強く反り返り、雄しべと雌しべが突き出る。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。鍾馗水仙(ショウキズイセン)の名でも流通しているが、鍾馗水仙(ショウキズイセン)の学名は Lycoris traubii で本種とは異なる。属名の Lycoris はギリシャ神話の海の女神「リコリス(Lycoris)」の名からきている。花の美しさを称えて名づけられた。種小名の africana は「アフリカの」という意味である。写真は9月につくば植物園で撮った。学名:Lycoris africana(=Lycoris aurea)★あれこれは鍾馗蘭かと見紛うて 違いを知れば楽しさ広がり花図鑑植物図鑑
匙面高(サジオモダカ) 秋の花 2011年09月21日 匙面高(サジオモダカ)はオモダカ科サジオモダカ属の多年草である。漢字では「匙沢瀉」とも書く。北海道から本州の中部地方にかけて分布し、水田や池沼などに生える。海外では、朝鮮半島や中国の東北部にも分布する。草丈は50~80センチくらいである。根際から生える葉には長い柄があり、楕円形(さじ形)である。葉の縁にぎざぎざ(鋸歯)はない。開花時期は6~10月くらいである。雌雄同株である。花径2センチくらいの白い3弁の単性花をつける。茎の上部につくのが雄花で、下部につくのが雌花である。それぞれ3枚の花びらの真ん中に黄色い雄しべ、黄緑色の雌しべがつく。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。塊茎を生薬で沢瀉(たくしゃ)といい、利尿剤などに用いられる。属名の Alisma はギリシャ語で「海水(alis)」からきているとの説がある。種小名の plantago-aquatica は「オオバコ属に似た水生の」という意味である。変種名の orientale は「東方の」という意味である。写真は6月につくば植物園で撮った。学名:Alisma plantago-aquatica var. orientale★面高を区別するのはむずかしい どんな葉なのか覚えていこう花図鑑植物図鑑
丸葉瑠璃花笠擬き(マルバルリハナガサモドキ) 秋の花 2011年09月20日 丸葉瑠璃花笠擬き(マルバルリハナガサモドキ)はキツネノマゴ科ルリハナガサモドキ属の常緑小低木である。原産地は南太平洋である。学名からプセウデランテムム・レティクラツム・オバリフォリウムやプセウデランテムム・オバリフォリウムなどの名でも表示されている。瑠璃花笠擬き(ルリハナガサモドキ)の変種である。樹高は1メートルくらいである。葉は幅の広い楕円形で、向かい合って生える(対生)。葉は緑色から黄色へと変化する。開花時期は8~10月である。暖地では周年開花をする。花の色は白くて先が4つに裂け、花の真ん中は赤紫色である。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。属名の Pseuderanthemum はギリシャ語の「pseudo(偽)+Eranthemum(ルリハナガサ属)」からきている。ルリハナガサ属に似たという意味合いである。種小名の reticulatum は「網状の」という意味である。変種名の ovarifolium は「広楕円形の葉の」という意味である。写真は1月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。学名:Pseuderanthemum reticulatum var. ovarifolium★南海の島が似合うね瑠璃の色 白との調和ただ美しく花図鑑植物図鑑