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犬群雀(イヌムレスズメ)



犬群雀(イヌムレスズメ)はマメ科エキノソファラ属の落葉小低木である。
原産地は朝鮮半島である。
1属1種である。
和名の由来は、中国原産の群雀(ムレスズメ)に似て小形であるというところからきている。
別名を狗苦参(イヌクララ)ともいう。
これは、薬用とする苦参(クララ)に似ているが役立たないというのが名の由来である。
樹高は50~100センチくらいである。
枝には毛が生えており、暗い褐色を帯びる。
葉は奇数羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並び、先に1つの小葉がついて1枚の葉が構成される)で、互い違いに生える(互生)。
小葉の形は楕円形で長さは4~6センチくらいあり、13~27枚で構成される。
葉の裏面には白い毛が密に生える。
開花時期は4~5月である。
新しい枝の先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、鮮やかな黄色をした蝶形の花を5~6個ずつつける。
花径は15ミリくらいである。
花の色は咲き進むと赤味を帯び、橙色になる。
花の後にできる実は豆果(莢の中に種子が入るもの)である。
属名の Echinosophora は「echinos(ハリネズミ)+sophora(クララ)」に由来する。
種小名の koreensis は「朝鮮の」という意味である。
写真は4月に小石川植物園で撮った。
学名:Echinosophora koreensis


★小形でも役立たずとも構わない
 わが道を行く犬群雀




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東菊(アズマギク)



東菊(アズマギク)はキク科ムカシヨモギ属の多年草である。
日本固有種である。
本州の東北地方から中部地方にかけて分布し、土手や日当たりのよい原野に生える。
東(あずま)は奈良時代には信濃・遠江より東の諸国をさし、近世には箱根より東の特に関東地方をさした。
和名の由来も、関東地方から東北地方にかけて多いことからきている。
草丈は10~30センチくらいである。
茎には毛がたくさん生えている。
根際から生える葉には長い柄があり、へら形をしている。
茎につく葉は線形である。
開花時期は4~6月である。
花の色は、まわりの舌状花が淡い紅紫色で、真ん中の筒状花が黄色である。
そのコントラストが美しい。
花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。
属名の Erigeron はギリシャ語の「eri(早い)+geron(老人)」からきている。元々はノボロギクにつけられた名で、灰白色の軟毛におおわれ、早く花が咲くという意味である。
種小名の thunbergii はスウェーデンの植物学者で日本の植物を研究した「ツンベルクさんの」という意味である。
写真は5月に神代植物公園の野草展(東京山草会)で撮った。
学名:Erigeron thunbergii


★美しい紅紫に包まれて
 黄も鮮やかに東菊咲く



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アクイレギア・アマリアエ



アクイレギア・アマリアエはキンポウゲ科オダマキ属の多年草である。
原産地はバルカン半島南部とギリシャのオリンパス山で、高山に生える。
草丈は15~30センチである。
葉は3出複葉(1枚の葉が3つの小さな葉に分かれた形)で、深く切れ込む。
開花時期は4~5月である。
花の色は淡い青色である。
距(花冠のつけ根が後ろに飛び出たもの)の部分は色が濃く、だんだん薄くなって花冠の先は白くなる。
花径は3センチくらいである。
深山苧環(ミヤマオダマキ)を小振りにして花色を淡くした感じである。
花の後にできる実は袋果(熟すと果皮が自然に裂けて種子を放出する)である。
なお、ottonis はギリシャ王オットー、amaliae はその妻の名にちなむ。
属名の Aquilegia はラテン語の「aquila(鷲)」からきている。曲がった距がワシの距に似ていることから名づけられた。
種小名の amaliae はギリシャ国王オットー(Otto:1832-1862)の妻アマリア(Amalia)の名からきている。
写真は4月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。
学名:Aquilegia amaliae


★突き抜ける空の青さを映すよう
 爽やかに咲くアマリアエの花




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ウィローサ



チューリップはユリ科チューリップ属の多年草である。
原産地は地中海沿岸地方から中央アジアにかけた一帯である。
17世紀のオランダで熱狂的なブームを巻き起こした。
今日では園芸品種の数は4000種を超えるという。
ウィローサ(Wirosa)もその中の1つである。
晩生咲き(4月下旬~5月)の八重遅咲き系(DL:Double Late)に含まれる。
草丈は短茎(25~40センチ)である。
根際から生える葉は帯状である。
花の色は赤く、縁には白い覆輪が入る。
写真は5月に札幌市の豊平公園で撮った。
学名:Tulipa 'Wirosa'


★八重に咲くとても豪華なチューリップ
 赤と白とで春の花園




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島玉心花(シマギョクシンカ)



島玉心花(シマギョクシンカ)はアカネ科ギョクシンカ属の常緑低木である。
小笠原諸島の固有種で、父島、母島に分布する。
和名の由来は、玉のように咲く花序の形からきている。
環境省のレッドリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されている。
樹高は1~2メートルである。
葉は楕円形で、枝先に集まって向かい合って生える(対生)。
葉は濃い緑色で艶があり、縁にぎざぎざ(鋸歯)はない。
開花時期は3~4月である。
枝先に集散花序(枝先に花がつき、その下から枝が出て花をつけることを繰り返すもの)を出し、白い小さな花を球状につける。
花弁数は5枚である。
花には白粉のような独特の香りがある。
花の後にできる実は球形の核果(水分を多く含み中に種が1つある)で、12月頃に黒紫色に熟する。
九州南部や沖縄に近縁種の玉心花(ギョクシンカ)が分布する。
属名の Tarenna の由来は不明である。
種小名の subsessilis は「無柄に近い」という意味である。
写真は3月に夢の島熱帯植物館で撮った。
学名:Tarenna subsessilis


★独特の香りで蝶を招きよす
 島玉心花は薄暗がりに




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