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秋唐松(アキカラマツ)



秋唐松(アキカラマツ)はキンポウゲ科カラマツソウ属の多年草である。
北海道から九州にかけて分布し、山野の草地や道端に自える。
海外では、朝鮮半島や中国にも分布している。
漢字では「秋落葉松」とも書く。
草丈は70~150センチくらいである。
茎の上部でよく枝分かれをする。
葉は2~4回3出複葉である。
3出複葉というのは、1枚の葉が3つの小さな葉に分かれた形のことである。
何回か枝分かれをして3枚ずつ小葉をつけた全体が1枚の葉となる。
小葉は円形ないし楕円形で、先が浅く3つから5つに裂ける。
葉の裏面は白味を帯びる。
開花時期は7~9月である。
茎先に円錐花序(枝分かれして全体が円錐状に見える)を出し、淡い黄色の小さな花をつける。
花弁のように見える萼は3~4枚あるが、早くに落ちる。
後は雄しべと雌しべだけの花となる。
雄しべが長く飛び出し、黄色く見えるのは雄しべの葯である。
花の後にできる実は楕円球状のそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。
和名の由来は、花の姿を唐松(カラマツ)に見立て、咲く時期が遅いことからきたものである。
近縁種の唐松草(カラマツソウ)に似ているが、花の色で区別ができる。
属名の Thalictrum はギリシャ語のthaliktron(葉が枝分かれをする植物の名)からきている。ローマ時代の医師ディオコリデス(Dioscorides)によってカラマツソウ属の名に充てられた。
種小名の minus は「より小さい」という意味である。
変種名の hypoleucum は「裏面が白い」という意味である。
写真は8月に箱根湿生花園で撮った。
学名:Thalictrum minus var. hypoleucum


★柔らかな萌えるがごとき花の色
 秋落葉松は静けさの中
☆秋風を楽しむように揺れながら
 秋唐松は夕日を浴びて




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アポイ鳥兜(アポイトリカブト)



アポイ鳥兜(アポイトリカブト)はキンポウゲ科トリカブト属の多年草である。
北海道の固有種である。
日高山脈にのみ分布し、かんらん岩や蛇紋岩地帯などの高山の草地に生える。
アポイ岳、札内岳、戸蔦別岳などに生育している。
別名を日高鳥兜(ヒダカトリカブト)ともいう。
このほうが一般的な名称のようであるが、北大植物園のラベルは「アポイ」であった。
蝦夷細葉鳥兜(エゾホソバトリカブト)の近縁種である。
草丈は30~90センチくらいである。
茎の上部には曲がった毛が生えるのが本種の特徴である。
葉は3つに裂け、小葉が更に2つに深く裂ける。
開花時期は8~9月である。
青紫色の花びらのように見えるのは萼片で、5枚ある。
本当の花弁は萼片の内側に2枚ある。
雄しべはたくさんあり、雌しべは3本から5本くらいある。
雄しべにも雌しべにも毛がないことが本種の特徴である。
花の後にできる実は袋果(熟すと果皮が自然に裂けて種子を放出する)である。
全草にアルカロイドのアコチニンなどを含み有毒である。
属名の Aconitum はギリシャ語の「akon(投げやり)」からきている。
種小名の apoiense は「アポイ岳の」という意味である。
写真は9月に北大植物園で撮った。
学名:Aconitum apoiense


★薄っすらと色づく青が冴え渡る
 高山の花アポイ鳥兜




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沖縄姫菜切り(オキナワヒメナキリ)



沖縄姫菜切り(オキナワヒメナキリ)はカヤツリグサ科スゲ属の多年草である。
沖縄の固有種である。
沖縄本島、石垣島、西表島に分布し、山地の渓流沿いの岩上に生える。
別名を沖縄姫菜切り萱(オキナワヒメナキリスゲ)という。
分類上は神宮萱(ジングウスゲ)の地域変種とされている。
神宮萱(ジングウスゲ)は別名を姫菜切り萱(ヒメナキリスゲ)という。
環境省のレッドデータブックでは、「現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては『絶滅危惧』に移行する可能性のある種」である準絶滅危惧(NT)に登録されている。
草丈は40~60センチくらいである。
葉は線形である。
葉の質は硬く、長さが35~50センチくらいある。
つけ根の部分の鞘は濃い褐色をした繊維状となる。
開花時期は8~9月である。
小穂は長い楕円状の円柱形である。
和名は、沖縄に分布して小形であり、葉がざらついて菜っ葉が切れるほどだというところからきている。
花の後にできる実は小堅果(皮が堅く、種と接触せずに種を包んでいる果実)である。
属名の Carex はギリシャ語の「keirein(切る)」からきている。葉が鋭いことから名づけられた。
種小名の sacrosancta は「神聖な場所の」という意味である。
変種名の tamakii は植物学者「玉城松栄さんの」という意味である。
写真は8月につくば植物園で撮った。
学名:Carex sacrosancta var. tamakii


★目立たぬが菅の仲間も面白い
 地域に応じ姿を変えて




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エリカ・バガンス



エリカ・バガンスはツツジ科エリカ属の常緑小低木である。
種小名の読み方は「ヴァカンス」や「ワガンス」とするものもある。
原産地はイギリスである。
一般名はコーニッシュ・ヒース(Cornish heath)である。
コーニッシュは「イギリスのコーンウォール地方の」という意味である。
樹高は30~80センチくらいである。
葉は針形で、互い違いに生える(互生)。
開花時期は8~10月くらいである。
葉の脇に2輪ずつ小さな鐘形の花をつける。
花の色は白や桃色のものがある。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
属名の Erica はギリシャ語の「erion(軟毛)」からきている。全体に軟毛が生える種類の多いことから名づけられた。
種小名の vagans は「広がった、変化した」という意味である。
写真はミセスD・F・マクスウェル(Mrs. D. F. Maxwell)という園芸品種である。
写真は6月に小石川植物園で撮った。
学名:Erica vagans


★エリカにいろんな種類あるんだね
 背丈の低いこれはバガンス




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蝦夷刺草(エゾイラクサ)



蝦夷刺草(エゾイラクサ)はイラクサ科イラクサ属の多年草である。
北方領土を含む北海道から本州の岡山県にかけて分布し、山地の林の中や沢沿いの湿地に生える。
海外では、シベリア、カムチャツカ、サハリンなどにも分布する。
草丈は50~180センチくらいである。
茎は赤味を帯び、角張っていて、棘状の毛が下向きに生える。
葉は卵形で、2枚ずつ向かい合って生える(対生)。
縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。
葉も棘状の毛で覆われ、触ると痛い。
開花時期は7~9月である。
雌雄異株(ときに同株)である。
花の色は緑色である。
花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。
若芽は山菜として食べることができる。
アイヌの人びとは、茎から繊維を取り出して糸をつくり、織物の材料とした。
属名の Urtica はラテン語の「uro(ちくちくする)」からきている。
種小名の platyphylla は「広い葉の」という意味である。
写真は9月に北大植物園で撮った。
学名:Urtica platyphylla


★役に立つ草だったんだ刺草は
 薬にもなり糸にもなって




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