沢鵯(サワヒヨドリ) 秋の花 2012年09月12日 沢鵯(サワヒヨドリ)はキク科フジバカマ属の多年草である。北海道から沖縄にかけて分布し、日当たりのよい湿地に生える。海外では、朝鮮半島、台湾、中国、ベトナム、タイ、マレーシア、インドなどにも分布する。草丈は40~90センチくらいになる。葉は披針形(笹の葉のような形)で、向かい合って生える(対生)。開花時期は8~10月である。花(頭花)は薄紫色ないし白で、たくさん集まって散房状(柄のある花がたくさんつき、下部の花ほど柄が長いので花序の上部がほぼ平らになる)につく。1つの花は5つの筒状花で構成される。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。属名の Eupatorium は小アジアのポントス王「Eupator」の名にちなむ。この属のある植物を薬用にしたことから名づけられた。種小名の lindleyanum はイギリスの植物学者「リンドレー(J. Lindley)の」という意味である。写真は8月につくば植物園で撮った。学名:Eupatorium lindleyanum★咲く姿じっと見つめてほしいよと 澤鵯の声が聴こえて花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|PR
午時花(ゴジカ) 秋の花 2012年09月11日 午時花(ゴジカ)はアオギリ科ゴジカ属(ペンタペテス属)の多年草である。分類体系によってはアオイ科とされる。園芸上は一年草として扱う。原産地はインドである。インドから東南アジアの熱帯地方に分布し、田や水辺に生える。葉が茶の代用品として飲用されている。日本へは江戸時代に、薬用・観賞用として渡来した。和名の由来は、午の刻(午前11時~午後1時)に咲くというところからきている。花は一日花だが、次々に開花する。中国名は「夜落金盞」である。草丈は60~200センチくらいである。茎は直立する。葉は幅の広い披針形で、互い違いに生える(互生)。縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は7~10月である。葉の脇に花径3~4センチくらいの赤い花をつける。花弁は5枚である。花の後にできる実は円いさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)で、萼に包まれている。属名の Pentapetes はギリシャ語の「pente(5)+petalon(花弁)」からきている。種小名の phoenicea は「ザクロのような紅色の」という意味である。写真は9月に東京都薬用植物園で撮った。学名:Pentapetes phoenicea★次々と咲かせ花散る定めなら 赤く咲きたい午時花の願い花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|
岩蓬(イワヨモギ) 秋の花 2012年09月10日 岩蓬(イワヨモギ)はキク科ヨモギ属の多年草である。本来の自生地は北海道で、海岸や山地の岩場に生える。海外では、朝鮮半島、中国、シベリア南部などにも分布している。環境省のレッドリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されている。しかし、一方では、外来種と思われるものの帰化が日本各地で進行しているという。草丈は50~100センチくらいである。茎のつけ根は木質化し、よく枝分かれをする。葉は2回羽状複葉である。鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並んで1枚の葉が構成されるのが羽状複葉だが、これをもう1回繰り返して1枚の葉となる。開花時期は9~10月である。茎先や上部の葉の脇に淡い黄緑色の目立たない頭花をたくさんつける。花径は3ミリくらいである。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。アイヌの人びとは葉や花を煎じて風邪や腹痛の治療薬とする。属名の Artemisia はギリシャ神話の女神「アルテミス(Artemis)」からきている。この属の植物が婦人病に効くということから名づけられた。種小名の iwayomogi は日本名からきている。写真は9月に北大植物園で撮った。学名:Artemisia iwayomogi(=Artemisia sacrorum)★北国に緑届ける岩蓬 外国産の帰化が始まり花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|
河原蓬(カワラヨモギ) 秋の花 2012年09月09日 河原蓬(カワラヨモギ)はキク科ヨモギ属の多年草である。本州から沖縄にかけて分布し、海岸や河原の砂地に生える。海外では、朝鮮半島、台湾、中国にも分布する。草丈は30~100センチくらいである。茎の下部は木質化をする。葉は1~2回羽状に深く裂け、互い違いに生える(互生)。葉は糸状に細かく裂けている。花のつく茎の葉には毛はなく、花のつかない茎の葉には白い絹毛が生える。開花時期は9~10月である。茎先に円錐花序(下のほうになるほど枝分かれする回数が多く、全体をみると円錐形になる)を出し、花径2ミリくらいの小さな緑色の頭花をたくさんつける。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。頭花を乾燥させたものを生薬で茵陳蒿(いんちんこう)といい、苦味があって利胆、利尿薬などに用いられる。属名の Artemisia はギリシャ神話の女神「アルテミス(Artemis)」からきている。この属の植物が婦人病に効くということから名づけられた。種小名の capillaris は「細い毛のような」という意味である。写真は9月につくば植物園で撮った。学名:Artemisia capillaris★コスモスを思わすようにちりちりと 裂けた葉っぱが風にゆらゆら花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|
厚岸草(アッケシソウ) 秋の花 2012年09月08日 厚岸草(アッケシソウ)はアカザ科アッケシソウ属の一年草である。和名の由来は、北海道の厚岸で発見されたことからきているが、現在は厚岸ではほとんど見られない。別名を珊瑚草(サンゴソウ)という。これは、秋に紅葉した姿が珊瑚のように見えることからつけられた名である。北海道のオホーツク海沿岸、本州の宮城県、四国の瀬戸内海沿岸に分布し、塩性湿地に群落をつくる。海外では、北半球に広く分布する。環境省のレッドデータリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されている。草丈は10センチから30センチくらいである。茎は肉質で緑色をしており、たくさんの節がある。茎は直立をし、節から枝分かれをした枝が向かい合わせに生える(対生)。茎の色は緑色から赤へと変化する。葉は節につき、退化した鱗片葉で向かい合って生える(対生)。開花時期は8月から9月である。花は先のほうの節に、白い小さな花が3つずつつく。真ん中の花が両性花で、両側の花は雄花である。真ん中の花だけが結実し、花の後に膨らんで海綿質になった花被片が胞果(薄皮のような果皮の中に種子が1個入っているもの)を包む。属名の Salicornia はラテン語の「sal(塩)+cornu(角)」からきている。つの状の枝を持つ海岸性の植物であることから名づけられた。種小名の europaea は「ヨーロッパの」を意味する。写真は9月に網走市の能取湖で撮った。学名:Salicornia europaea★静謐な水面彩り珊瑚草 アフロヘアーを思わすように花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|