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季節の花

いま咲いている花

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イケマ



イケマはガガイモ科イケマ属(キナンクム属)の蔓性多年草である。
分類体系によっては(APG第3版)キョウチクトウ科とされる。
キナンクム属は世界に249種が分布する。(Catalogue of Life: 2017 Annual Checklist より)
日本にも本種などが分布し、属名の和名はイケマ属という。
本種は北方領土を含む北海道から九州にかけて分布し、山地の林の縁などに生える。
海外では、中国にも分布するという説と中国にあるものは別種だという説がある。
分類の仕方によって異なるということなのだろう。
和名はアイヌ語が語源で、「太い根」という意味をもつ。
蔓性なので、他の植物などに絡みついて生長する。
蔓の丈は2メートルから5メートルくらいになる。
根は太くて大きく、浅く枝分かれして肥大する。
茎は数本が束になって生え(束生)、切ると白い乳液が出る。
葉は卵形で、向かい合って生える(対生)。
先は尖り、つけ根は深い心形である。
縁にぎざぎざはない(全縁)。
開花時期は7月から8月である。
葉の脇から散形花序(茎先からたくさん花柄が出て、その先に1個つずつ花がつく)を出し、白い小花をつける。
白い花びらのように見えるのは副花冠で、深く5つに裂ける。
その外側にある淡い黄緑色の部分が花冠で、5つに裂けて反り返る。
花の後にできる実は袋果(熟すと果皮が自然に裂けて種子を放出する)である。
綿毛があって、風で運ばれる。
春の若芽は山菜として利用される。
根はアルカロイドを含み有毒だが、生薬名を牛皮消根(ごひしょうこん)といい、利尿、強精、強心などの薬効がある。
花言葉は「怖いもの知らず」である。
属名の Cynanchum はギリシャ語の「cyno(犬)+anchein(殺す)」からきている。この属の1種が犬に対して害毒があると考えられていた。
種小名の caudatum は「尾状の」という意味である。
なお、下記の学名はYListが一般名として採用しているものだが、Catalogue of Lifeではそれは異名扱いで、一般名はCynanchum boudieri subsp. caudatumとしている。
後者の場合、基本種のCynanchum boudieriは和名を奄美イケマ(アマミイケマ)といい、中国などにも分布するとされるものである。
写真は7月に北海道の弟子屈町摩周で撮った。
学名:Cynanchum caudatum(syn. Cynanchum boudieri subsp. caudatum)

★霊草と奉られるイケマには
 神の力の宿るや否や
☆呪術にも使われたるや神の足
 花はのどかに虫と戯れ



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小葉の鴎蔓(コバノカモメヅル)



小葉の鴎蔓(コバノカモメヅル)はガガイモ科カモメヅル属(ビンケトクシクム属)の蔓性多年草である。
分類体系によっては(APG第3版)キョウチクトウ科とされる。
ビンケトクシクム属は世界に107種が分布する。(Catalogue of Life: 2017 Annual Checklist より)
日本にも本種などが分布し、属名の和名はカモメヅル属という。
本種は本州の関東地方から近畿地方にかけて太平洋岸に分布し、草原や湿地に生える。
海外では、中国の江蘇省などにも分布する。
中国名は鎮江白前(チャンチアンビャクゼン, zhenjiang baiqian)という。
他の草などに巻きつき、草丈は2メートルから3メートルになる。
葉は披針形(笹の葉のような形)で、向かい合って生える(対生)。
葉の縁にぎざぎざ(鋸歯)はない。
開花時期は7月から9月である。
暗い紫色をした小さな星形の花(花冠が5つに裂ける)をつける。
花径は1センチから2センチである。
花の後にできる実は袋果(熟すと果皮が自然に裂けて種子を放出する)である。
和名の由来は、向かい合って生える2枚の葉を鴎の飛んでいる姿に見立てたものである。
属名の Vincetoxicum はラテン語の「vinco(克服)+toxicum(毒)」からきている。
種小名の sublanceolatum は「やや披針形の」という意味である。
なお、Vincetoxicum属をCynanchum属の一部と見なす見解もあり、本種もCynanchum属とされてきたが、Catalogue of Life: 2017 Annual Checklist ではVincetoxicum属に分類され、Vincetoxicum sublanceolatumが一般名、Cynanchum sublanceolatumは異名とされている。
写真は5月に神代植物公園の野草展(東京山草会)で撮った。
学名:Vincetoxicum sublanceolatum(syn. Cynanchum sublanceolatum)

★葉の様子どこが鴎に似てるかな
 角度を変えて眺めてみたり



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伊予葛(イヨカズラ)



伊予葛(イヨカズラ)はガガイモ科カモメヅル属(ビンケトクシクム属)の多年草である。
分類体系によっては(APG第3版)キョウチクトウ科とされる。
ビンケトクシクム属は世界に107種が分布する。(Catalogue of Life: 2017 Annual Checklist より)
日本にも小葉の鴎蔓(コバノカモメヅル)などが分布し、属名の和名はカモメヅル属という。
本種は本州、四国、九州と小笠原諸島に分布し、海岸に近い草地や藪に生える。
海外では、台湾、朝鮮半島、中国などにも分布する。
和名の由来は伊予(愛媛県)で発見されたことからきている。
草丈は30センチから60センチくらいである。
茎は直立する。
茎先は蔓状に垂れ下がることもある。
葉は楕円形で、向かい合って生える(対生)。
葉の先は丸く、縁にぎざぎざ(鋸歯)はない。
葉の両面の葉脈上には短い毛が生える。
開花時期は5月から7月である。
葉の脇に散形花序(枝先に1つずつ花がつく)を出し、花径8ミリくらいの淡い黄白色の花をつける。
花冠は5つに裂けて平らに開く。
花の真ん中には副冠とずい柱(雄しべ・雌しべの集まったもの)がある。
花の後にできる実は袋果(熟すと果皮が自然に裂けて種子を放出する)である。
別名を雀の麻小笥(スズメノオゴケ)という。
めずらしい名だが、これは牧野富太郎博士が提唱したものである。
蔓性のものとそうではないものが混生するためであろうか。
「麻小笥」というのは麻糸を積みためる鉢桶のことである。
この名の由来は、果実の形をたとえたものだという。
花言葉は「飾らない美」である。
属名の Vincetoxicum はラテン語の「vinco(克服)+toxicum(毒)」からきている。
種小名の japonicum は「日本の」という意味である。
なお、Vincetoxicum属をCynanchum属の一部と見なす見解もあり、本種もCynanchum属とされてきたが、Catalogue of Life: 2017 Annual Checklist ではVincetoxicum属とされ、Cynanchum japonicumは暫定的学名の扱いである。
写真は5月につくば植物園で撮った。
学名:Vincetoxicum japonicum(syn. Cynanchum japonicum)

★潮騒の音を静かに聴きながら
 クリーム色の花を開いて



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プリムラ・ジュリアン



プリムラ・ジュリアンはサクラソウ科サクラソウ属(プリムラ属)の多年草である。
プリムラ属は北半球の温帯や寒帯に500種くらいが分布する。
また、多くの園芸品種が作出されている。
日本にも桜草(サクラソウ)などが分布するので、属名の和名をサクラソウ属という。
本種は日本で作出された園芸品種である。
交配親は原種のプリムラ・ジュリアエ(Primula juliae)と園芸品種のプリムラ・ポリアンタ(Primula x polyantha)である。
1972年に発売された小形で色数の多い品種である。
夏に弱いので園芸的には一年草扱いをされる。
草丈は8センチから15センチくらいである。
根際から生える葉は楕円形である。
葉には皺があり、縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。
開花時期は11月から5月くらいである。
花の色は赤や紫系、黄色、白、オレンジ色などである。
一重咲きのほか八重咲きのものもある。
花言葉は「青春の喜びと悲しみ」である。
1月30日の誕生花である。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
属名の Primula はラテン語の「primos(最初)」の縮小形である。プリムラ・ベリスが早春に他の花に先駆けて咲くことから名づけられた。
種小名の juliana は juliae と関連しているのだと思うがよくわからない。
写真は2月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。
学名:Primula x juliana

★見るからに小振りの花は愛らしく
 喉もとの色とても晴れやか



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枇杷(ビワ)



見上げれば枇杷の花揺れ弱陽射す

枇杷(ビワ)はバラ科ビワ属(エリオボトリア属)の常緑高木である。
エリオボトリア属はヒマラヤや東アジアに33種が分布する。(Catalogue of Life: 2016 Annual Checklist より)
本種の原産地は中国の南西部である。
日本へは奈良時代には既に持ち込まれ栽培されていた。
また、西日本の石灰岩地域には野生化したものが生える。
以上の経緯から属名の和名もビワ属という。
和名の由来は、実の形が楽器の琵琶に似ていることからきている。
種小名には japonica が充てられているが、これは江戸時代に来日したツンベルクが、日本で採取したものに命名したことからきている。
樹高は6メートルから10メートルくらいである。
葉は長い楕円形で、互い違いに生える(互生)。
葉の質は厚くて硬く、縁は波打つ。
開花時期は11月から12月くらいである。
枝先に地味な白い小さな5弁花をたくさんつける。
花径は1センチくらいである。
葯(雄しべの花粉を入れる袋)には毛が生えている。
数少ない冬の花として、茶花に使われることもある。
濃い黄色の果実は3センチから4センチの卵球形の偽果(子房以外の部分が加わってできている果実)で、6月ころ熟する。
果実は食用となり、葉は薬用となる。
生薬名は枇杷葉(びわよう)といい、消炎、排膿、鎮吐などの薬効がある。
俳句では「枇杷」が夏の季語、「枇杷の花」が冬の季語である。
花言葉は「温和」である。
1月25日の誕生花 である。
属名の Eriobotrya はギリシャ語の「erion(軟毛)+botrys(ブドウ)」からきている。表面が軟毛で覆われた果実がブドウのようになることから名づけられた。
種小名の japonica は「日本の」という意味である。
写真は12月に新宿御苑で撮った。
実の写真は6月に三郷市で撮った。
学名:Eriobotrya japonica

★見上げれば枇杷の花揺れ風走る
 師走の空は冷気みなぎり
☆枇杷の花見上げる頬に風寒く
 鈴なりの実の時が恋しく



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